信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School
of Medicine
画像診断症例検討2 〜下顎歯肉癌〜
下顎歯肉部に発生した悪性腫瘍におけるX線画像診断の基本とは、以下の事があげられる。
@進展範囲(下顎骨吸収深度)の把握
A浸潤(吸収)様式の把握
これらを評価することは、治療法の選択、下顎骨切除方法の決定をするうえで重要である。
1. 進展範囲(下顎骨吸収深度分類 岸、草間ら、日口外誌37 633-641、1991 )
Grade0 骨吸収なし
Grade1 歯槽部
Grade2 下顎管の上方部
Grade3 下顎管を含む
2. 浸潤様式(吸収様式Swearingenら 1966)
浸潤型(invasion type)
癌細胞が骨髄へ直接または歯槽を通して浸潤していく型。
陰影像は境界不明瞭、不規則であり、変性した骨片の浸潤性の小
班点を呈する。
圧迫型(erosion type)
腫瘍の発育により圧迫されて惹起される萎縮性の骨の変化。
陰影像は骨組織の形成は認めず、隣接骨との境界は明瞭である。
@骨膜の穿孔
A歯槽骨の連続的骨皮質の喪失
BU字型の骨髄部の陥没
Cパンチアウト、スカーロップ病変
以上、4型に分類できる。
進展範囲(下顎骨吸収深度)は単純X線写真DentalX-ray,orthopantograghにて評価可能である、さらにCTにより単純撮影法で判然としなかった腫瘍の下顎骨の浸潤がより明らかになる(最近ではDental CT DentalScanの利用もあり、有用性が報告されている)。
X線像浸潤様式(吸収様式)はおおむね病理組織学的な腫瘍の浸潤様式と対応するものとされている。
- 画像診断を利用した手術法(下顎切除法)の選択方法 -
Grade0〜2 and 圧迫型 =辺縁切除術(marginal resection)
Grade3 or 浸潤型 =区域切除術(block resection)
しかし画像診断のみで適応とするのは問題があり、臨床病期、組織学的悪性度をもちい下顎切除法を検討する必要があり有用性があるとの文献もある。また区域切除術適応例でも(9ミリ以下の下顎骨下縁である場合は除外もしくは金属プレートによる補強が必要となることがあるため)一概に画像診断のみで選択するのは困難である。
参考文献
口腔癌 デンタルダイヤモンド社
歯科画像診断の最前線 医歯薬出版
頭頚部腫瘍学会雑誌 23 625~635 1997
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